俺の独り言(シニア男の本音トーク)のブログ

台湾東部、花蓮に家族で移住したシニア世代に突入した中年男の本音トーク。同年代に送り届けたい独り言。若い世代に残したい独り言。

リーダーには必要不可欠な事だぜ。反対意見に耳を傾ける。

日本のテレビ放送ではよく会社などのリーダー的存在の人を紹介する番組がある。「プロフェッショナル」「ガイアの夜明け」などいう番組がそうだ。


人間という生き物に限らず、野生動物の世界でも、群れを作って生きていく上で、リーダーは必要不可欠な存在だ。
動物の世界では力の強いものがリーダーとなる。非常に単純明快なリーダーの選出方法だ。
しかし、人間界では、力だけではリーダーにはなれない。


会社内で新しいプロジェクトチームを立ち上げる際、必ず、リーダーが選出される。
町内でも、リーダーが必要だし、子供の世界でもリーダーは必要である。
リーダーの選出方法には各々の選出基準というものがあるだろう。


俺も、過去に、会社を経営している時は、各事業ごとにリーダーを選出した。
店舗には店長を、本社内には事業部長を選出し、責任を持って自分の担当部門の業務を運営させていた。ある程度の事柄に対してはすべてリーダーに決定権を委ねていた。
だから、稟議書という、日本の会社独特の悪しき習慣(と、俺が思っているだけの事だが)は一切なかった。
どうしてもリーダーの立場だけでの決定が難しい場合は、直接、社長である俺にリーダーから連絡が入るようにしていた。
ここで重要な事は、常に、各チームの状況報告だけは徹底することだった。
役職のある者やチームリーダーに対しては、日々の日報だけは必ず提出するように徹底していた。
俺はその日報を、12時間以内に読むようにし、気が付いたことを書いて、提出者に返信するようにしていた。例え俺が出張中であっても、これだけは徹底した。
言わば、リーダーと俺との交換日記みたいなものだ。


よく知人からは、「そこまで社員に決裁権を与えて大丈夫か?」とか「社員を信頼して足元をすくわれない様に」とか言われた。
俺は「大丈夫か?って何に対して大丈夫か?って思うんだ」「社員を信頼して足元をすくわれる?意味がわからん」と思っていた。


社員を信頼できないのならば、全て自分がやればいいことだ。信頼できない社員ならば、最初から雇用する必要はない。雇用した以上は、その人間を信頼しなければいけない。


俺はリーダーを選出する際に一つの俺なりの流儀がある。
まずはチームは様々な部署からメンバーを選出する。但し、最初の顔合わせの時点ではリーダーは空席にしておく。全員が平等に横一列に並んでいる状態だ。そして、チームがこれから行う事業に対して、自由にディスカッションをさせる。
このディスカッションには俺も参加するが、一切の発言は行わない。黙って、チームのディスカッションを見ている。
チームのメンバーを選ぶ際は、必ず、真逆な考えを持っている人間を同じ人数だけ参加させた。多数決を取っても、票が同じ数だけになるようにした。
ディスカッションの時間は丸一日。そして、翌日に俺がリーダーを指名する。この時点で、そのプロジェクトに対してはすべてをリーダーに委ねる。リーダーから要請がない限り、俺がそのチームの会議に参加することはない。


では、俺は何を基準にリーダーを選出していたかだが、リーダーに必要な資質は、「反対する意見をねじ伏せたり、逃げたりするのではなく、反対意見に耳を傾ける事が出来るか否か」で俺はリーダーを選出していた。


また、もしもそのプロジェクトが失敗に終わった時はどうするか。まず、チーム全員で失敗原因を分析させる。この際、個人の責任、世間の責任、経済の責任には絶対にさせない事がルールだった。
自分たちが考えたプロジェクトが失敗した時、一番ショックを受けているのはチームのメンバー全員である。故に、個人攻撃をしたりはしない。また、逃げの言い訳も厳禁。


失敗から何を学んだか。そして、それをどの様にして、次の事業に生かすか。その事を考えるためにも、原因の分析は重要だ。しっかりと分析できたチームの人間は、色々な事を学んだはずだ。失敗する悔しさ、痛さ、苦しさを学ぶ。ここでしっかりと学ぶことが出来た人間にだけ与えられる特権、それは、「成功した時のうれしさを人一倍味わえる」という特権だ。


失敗をして喪失するものもあるだろうが、喪失して気付く事も多いと思う。


以前にも書いたが、野球界でも、あの天才イチロー選手でさえ、打率3割を維持する事は難しい。10打席中ヒットは3本。後は凡退なのだ。
新しい事業の場合は、さらに成功率は低いかもしれない。言い換えれば、「失敗して当たり前」なのだ。


よく世間でも言うよな「失敗から学ぶことは多い」って。正に、その通りだと思う。
失敗した経験を持つ者は強い。失敗という経験を、「貴重な経験である」と、気付くか、気付かないかだ。気付いた者は、先へと進める。しかし、「失敗した」という結果論だけに執着してしまう者は、そこで終わる。


俺の会社でもあったよ。ビックプロジェクトに失敗したチームリーダーが失敗の責任を取って退職届を持ってきた。この様な場合、社長としての対応には二通りがある。
一つは「次がある。ここで辞めてどうする。頑張れ」と励まし、退職届を受理しない。
もう一つは「わかった」と受理する。
さあ、あなたが社長ならどちらを選ぶかなあ。


俺は二番目の受理するタイプだった。理由は簡単だ。俺の会社には、「挑戦する魂」を持たない人間は不要だった。
失敗という事柄に対し、辞職することで責任を取ったと思うなど、一番卑怯なやり方だと俺は思うからだ。その様な人間を会社に留めておく必要などない。


成功を目指して必死に頑張る。しかし、全てが成功するなど有り得ない。失敗の方が多くて当たり前。しかし、その失敗の数だけ、経験というお金では買えない貴重な財産を、チームメンバーも、会社も得るのだ。
この財産を、どのように活用するか。そこが、一番大切な事だと俺は思うな。


「成功するためのマニュアル」などない。でも、「失敗しないためのマニュアル」は、各人で作成する事ができる。経験を記録として残すことは、何物にも代えがたい財産だ。
お偉い先生方の講演会などに参加して、お話を聞くのもいいが、俺なら、そんな時間があるのだったら、失敗しないためのマニュアルを作るなあ。


この貴重なマニュアルを作るためにも、リーダー選びはとても重要だと俺は思うよ。

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