俺の独り言(シニア男の本音トーク)のブログ

台湾東部、花蓮に家族で移住したシニア世代に突入した中年男の本音トーク。同年代に送り届けたい独り言。若い世代に残したい独り言。

優れた日本の技術力に隠れた危険

日本の技術は世界が認めるハイレベルなものがある。
例えば、博多で発生した地盤沈下を僅か一週間ほどで修復したことに世界から絶賛の声があがっている。確かに凄いことだ。日本だからできた事だろう。


しかし、短期間で修復したことに絶賛が集まることで、何か大切な事を忘れてはいないだろうか。何故、あのような大規模な地盤沈下が発生したのかということだ。
俺は、そっちの方が気になる。


地下鉄工事をやっていて、それが原因だと言われているが、ハイレベルな技術を誇る日本が、今までに、数多くの地下鉄工事をやって来た日本が、都心のど真ん中で、あれほどの沈下事故を起こした。
時間がもう少し遅く、通学、出勤時間帯だったらどうなっていただろうか。周りのビルが倒壊していたらどうなっていただろうか。
考えただけでも背筋がゾッとするような事故だ。


俺はいつも言っているが、この世には「絶対」は存在しない。技術が発展すればするほど、人間は「絶対」に近づいたと勘違いする。そして、その勘違いはいつの間にか「大丈夫」「安全」という観念に変わる。そこに落とし穴がある。


技術力を過信してした結果が今回の事故にも繋がったのではないだろうか。


世の中はどんどん便利になっていく。便利になればなるほど、人は「危険」に対する防御策を怠ってしまう。危機管理の欠如だ。
何か事件、事故が起こる度に企業は「危機管理」という言葉を口にし、対策を練る。
しかし、危機管理とは、事が起こる前から備えておくことが必要だ。


想定外の事が起こるのが今の時代。想定外の事が起こるのが自然だ。


台湾には人が多く集まる場所には必ず、「停電時自動点灯照明」の設置が義務付けられている。阪神淡路大震災の後、俺はこの商品を是非、日本も導入べきだと考えた。そして、台湾のメーカーと話し合い、日本向け電圧に変更し、日本の安全基準を満たす電気コードへと変更したサンプルを作成した。サンプル製作には、日本側の認可等々の関係で、数か月が必要だった。サンプル完成後、俺はサンプルを持って、日本の会社、ホテル、行政、鉄道会社、ホームセンター等々を回った。しかし結果は発注はなかった。その理由のほとんどが「時期が遅かった。震災直後なら売れただろうが、今のじきではねえ」という回答だった。俺は驚いたね。あれだけの大惨事を経験した京阪神でさえその反応。関東方面では相手にもされなかった。
危機管理に関しては本当に鈍い日本人。自分の身は自分で守るしかないのだ。


技術力に頼りすぎ、自信過剰になり、変な安心を得てしまっている様に俺には感じる。
わが身に災難が降りかかって、人は初めて慌てる。それでは遅いのだ。


会社内でも同じだ。永年、定番商品として人気を持続している商品があるとしよう。そういった商品にこそ、新商品以上に眼を光らせ、細心の注意を図る必要がる。
しかし、「大丈夫」という根拠のない安心感が社内に漂っていないか。
会社内の常識が世界の常識ではない。会社という小さな村の常識でしかないという事を経営者も従業員も気が付くべきだ。そして、最低でも年に一回、今の自分たちの会社の常識、安全、というものを第三者に診断してもらうべきだ。


人間は定期健診するのに、何故、会社の定期健診を怠る。
「うちはちゃんと会計監査を受けている。健全な会社だ」なんて寝言いってるんじゃないよ。数字さえ合えば健全だって。ちゃんちゃらおかしいねえ。数字が会社を動かしているんじゃない。人間が動かしているんだよ。他人同士が集まって、その中で、喜怒哀楽を感じながら日々を送っているんだよ。


会計監査を受けて健全だというなら、何故、社内にセクハラ、パワハラがあるんだ。何故、派閥争いがあるんだ。何故、商品でリコールがあるんだ。


優れた技術力を絶賛するだけでなく、その技術力の裏に隠れた危険性もしっかり検証すべきだはないかと俺は思うね。

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