俺の独り言(シニア男の本音トーク)のブログ

台湾東部、花蓮に家族で移住したシニア世代に突入した中年男の本音トーク。同年代に送り届けたい独り言。若い世代に残したい独り言。

固定観念は捨てよう

人間ってどうしても固定観念って持ってしまうものだよな。でも、固定観念は時に、物事を大きく見間違わせる。


俺がサラリーマンの時だった。会社で絵画のレンタルを始めることになった。当時、国際事業本部解散に伴い、俺は、大阪の某支店にいた。
以前にも話したが、俺は支店では異端児。いや、会社でも異端児だった。
故に、支店長からは嫌われていた。新しい事業が試験導入されるとなると、必ず、その担当は俺。成功すれば手柄は支店長。失敗すれば俺の責任。よくあるパターン。だから、俺は絶対に失敗しない様に全力を尽くす。「私、失敗しないので」ってところかなあ。確かこんな決め台詞のドラマあったよな。


絵画レンタルの事業部の説明が支店で行われた。事業部の人間は。「絵画には心を落ち着かせる効果があります。故に、歯科医などでは喜ばれます」と説明した。
支店長命令で支店エリア内の歯科医のリストアップを命じられ、それを各エリア担当者に振り分けることになった。俺にも責任エリアはあった。歯科医って、時間通りに診察が終わることはない。何度足を運んでも、医師には会えない。そりゃそうだろう。診察時間をオーバーして治療に専念し、やっと終わった時間、次の診察時間までが医師にとっては貴重な休憩時間。それを、営業マンに潰されたくはないよな。
結局、支店全体としてほとんど成果で出ない。あの時は正直焦った。
かと言って、絵画のレンタルなど、一般家庭では無理だし、一般の事務所でも無理。飲食店も難しい。
悩みながらも粘り強く歯科医に通った。と、そんなある日、狙いを付けていた歯科医に、診察時間にも関わらず営業マンが訪問し、その営業マンに医師が直接対応している光景を目にした。その病院は地域でも人気のある歯科医。患者数も多い。にも関わらず、医師自身が対応している。驚いたね。
俺はその営業マンの後ろをつけた。すると、その後も何軒もの歯科医を周り、ほとんど直接、医師と話をしていた。そう、この営業マンは、歯科器材の会社の人間。
俺は翌日、早速、その歯科器材の会社を訪問した。初日は挨拶。対応は当然、事務系の人。すぐさま、俺はその会社の近くの喫茶店を探し、喫茶店のオーナーさんに話を聞いて周った。すると、その中の一軒が、その歯科器材の会社によくコーヒーの出前をしたり、昼時になると、ランチの出前や、その会社の社員や社長がランチに来るという情報を得た。さあ、翌日からはその喫茶店通い。まずは、オーナーと友達になった。そして、オーナーから「あなたの粘り勝ちね。今度、社長さんが来たら紹介してあげるという言葉を引き出した。


約束通り、オーナーは社長を紹介してくれた。すると社長の口から出た言葉が「我々の業界も競争が激しい。単に、歯科器材だけを売っていてはダメ。新しい提案が出来る様にしたいと思っていた」という事で、話はトントン拍子に決まり、その会社の新商材として、絵のレンタルを取り入れてもらうことに成功。
社内で、絵画レンタル講習会を開き、その会社の営業マンが絵画レンタルの営業も行ってくれることになった。


発想の転換だよな。営業は直接顧客へという固定観念を捨てて、間接的でもサービスが提供できれば、営業としては成功ってことだよ。


決して自慢話をしている訳じゃない。全ての物事、固定観念を捨てるところから初めて欲しい。
「自分は営業には向かない」と頭から営業を諦めるのは簡単だ。でも、少し発想の転換をすれば、自分は苦手でも得意な人もいる。だったら、自分は、その得意な人だけを納得させれば、後は、勝手に物が動く訳だよな。


優れた技術を持った中小企業。でも、倒産するのは、営業力の欠如だ。だからと言って、技術者だった社員に営業に行かせても成果は期待出来ない。だったら、多少利益率は下がっても、営業が得意な人間を自分の周りに持てばいい。雇用してはダメ。周りに持つ事。


そう言えば、日本って、全ての商品の営業だけを行う会社って少ないよな。
ゆりかごからミサイルまで、なんでも売る、営業のプロ集団の会社、どうして日本には少ないのかなあ。
俺がもしもまた、社長業をするなら、営業会社を作るな。プロの営業マンをスカウトして、ありとあらゆる商品を売らせる会社。商社じゃない。プロ営業集団。


まあ、そんなことはどうでもいいか。


固定観念は捨てよう。この世の中「こうでなければならない」という事などないのだから。
常識だけでは新しい事など生まれない。


俺はそう思うけどなあ。

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