俺の独り言(シニア男の本音トーク)のブログ

台湾東部、花蓮に家族で移住したシニア世代に突入した中年男の本音トーク。同年代に送り届けたい独り言。若い世代に残したい独り言。

後悔しても時間は戻せない。互いに感謝し合おうぜ!

夫婦って面白いよな。だって、幼馴染でない限り、出会った時はお互いを全く知らない他人同士。一目ぼれして猛アタックして結ばれた夫婦もいれば、最初は何にも感じなかったという夫婦もいる。さらには、お互いに第一印象は良くなかったっていうのもあるよな。

お互いがお互いを意識するようになり、お付き合いが始まる。

デートの際、「おはよう。待った?」「いや、今来たところ」という会話からデートが始まる。そして帰り際には「今日は楽しかったよ。」「私も」「気を付けて帰ってね」と言った感じでそれぞれが家路につく。これが時間を経てくると、デート終了の最後の会話が辛く感じる。「こんなにも愛し合い、お互いを必要としているのに、何故、毎回毎回、別れが来るんだ」と。そして、「この人と一生、一緒に居たい」という思いが頂点に達し、プロポーズ。


大半の夫婦がこういった経験をしているはずだ。


ところが、結婚生活が長くなればなるほど、お互いの存在が当たり前に思うようになり、時には煩わしく感じるという夫婦も現れる。


「居て当たり前の存在」という考えは捨てたほうがいい。今朝、元気に家を出た夫が、突然帰らぬ人となる場合もある。逆に、今朝、自分を見送ってくれた妻の姿が最後の姿だったという場合もある。

人か必ず死ぬ。しかし、その死は、ある日突然やってくる。誰にも予測できない。


俺の父親は以前にも語ったがガンで亡くなった。健康診断で再検査必要と診断され、再検査に行った。すると、医師から「もう少し詳しく検査したいので、入院してください」と言われた。部屋はすぐに用意され、父親はそのまま入院。俺と母親はとりあえずの父の身の回りのものを病院近くのスーパーで購入した。時間になり、病室を出て、母親とエレベーターに向かっていた時のことだった。看護婦長(当時は婦長と呼ばれていた)に呼び止められ、「先生がお伝えしたい事があるとおっしゃっていますので、一緒にナースステーションまでお越しください」と言われ、そのままナースステーションへ向かった。

その間、母親は「何かあったのでしょうか」と不安そうな顔で婦長に尋ねると「詳しい事はわかりませんが、入院後の検査内容や入院生活についての注意事項だと思いますよ」と優しい笑顔で答えた。

ナースステーションに到着すると、婦長がどこかへ電話をかけ、「先生が息子さんにお話しがあるとおっしゃっています」と俺に受話器を渡した。

電話の相手は、さっきまで病室で父親に検査について説明をしていた主治医の先生だった。病室での口調とはまったく違い、深刻な口調で俺に対し「落ち着いて聞いてください。お父様の病気名は肝臓がんです。しかも病状はかなり進行しており、手術も出来ない状態になっています。このままでいけば、余命は1か月です」この瞬間、俺の目の前は真っ白になった。本当に一瞬にして真っ白になった。何も見えない。主治医の先生の声も遥か遠くの方で何か話しているといった感じだった。しかし、俺の横に母親が心配そうな顔で俺の反応を見ていることだけは感じていた。故に、俺は必死で冷静に受け答えをし、最後は笑顔で「では、よろしくお願いします」と言った事だけは覚えている。


母には本当のことは言えない。母も5年前に子宮がんの手術をしたばかり。しかも、母に言えば必ず父親にも知られてしまう。


家に帰り、風呂の中で思いっきり泣いた。兄弟もまだ父親の病気を、そして、余命宣告を受け止められるほどの年齢に達していなかったので、結局は、俺だけが父親の余命という残酷な事実と向き合うことになった。


結局、父は2か月半の闘病の末、永眠した。主治医は俺に「正直申し上げて、あの状態で2か月半もというのは奇跡です。」と告げた。俺は主治医に「先生、奇跡ではありません。父の「必ず元気になるんだ」という「生きる」ことへの執念と、「必ず元気になる」と信じて疑わなかった母の父への愛が、そうさせたのです。」と答えた。


俺の両親は本当に仲が良かった。だから、神様が最後に二人に与えてくれた時間だったのだと俺は思う。


父が亡くなった後、母の口癖は「7回忌までは私が責任をもって執り行うから、その後は長男であるあなたに任せるからね」だった。

母はその約束通り、父の7回忌を無事に終え、しばらくして体調を崩し、愛する父の元へと旅立っていった。


俺達シニア世代になると、何時、何が起こっても不思議ではない年齢になってきている。

俺の友人も数名、過労が原因で先に旅立っていった。

駅のベンチで座ったまま旅立った奴、睡眠不足が原因で事故死した奴、出張先のホテルで逝った奴。

別れは突然やってくる。


だからこそ、今日を大切にして欲しい。朝は笑顔で見送って欲しい。どんなに喧嘩していても、朝は笑顔でいて欲しい。

これは妻だけではない。夫もそうだ。

朝起きたら、食卓に朝食が並んでいる。当たり前の様に思う日常の様子だが、当たり前じゃないんだ。あたなのために、妻が、心を込めて作ってくれたんだ。

「ありがとう」「美味しいよ」「ごちそうさま」「今日も一日頑張ってくれよ」そう言って家を出よう。


愛し合い、信じあって、結婚したんだ。ご縁があって夫婦になり、家族をつくって来たんだ。

この世で自分の事を一番理解してくれているのが妻であり夫。


後悔しても時間は戻せない。だからこそ、今を、この瞬間を大切にして欲しい。


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